In memory of : 〜を記念して、〜のために;〜を追悼(追憶)して

6

夕方前に雨は上がった。あと数時間したら夕焼けが見られるだろう。
「休憩中」の札が引っ込められた店のドアが勢いよく開いた。
「ごちそうさま。それに助かったよ」
「なんだか私の骨董自慢大会みたいになっちゃってごめんね。
お客さんにやっちゃってカミーユ爺さんの小言を頂戴することも
しばしばなのよ」
いかにもやっていそうだ。思い浮かべてエドワードは笑った。
「でも面白かったよ。ジジがいかに骨董オタクか、よくわかった」
「機械鎧、大切に使いなさいよ。それ、とっても良いものよ。
大切に使えば、のちのち立派なアンティークになるわ。さっき、
なんとなく錆っぽい匂いが気になったけど…」
「えっ、ほんとにっ?!」
ぎょっとしてエドワードは自分の右腕を鼻先に持っていく。
手入れをしろだの、取り扱いが悪いだのと言われているのだ。
「嘘よ」
「…っ!ってめーっ!」
「ははは!それと、気になっていたんだけど」
「まだ何かあるのかよ!」
「あなたのそれ、懐中時計のチェーンね?」
ポケットから銀鎖が下がっている。
国家錬金術師の身分証明でもある銀時計だ。
「いまどき渋好みね。今はまだ若いからそのシンプルなチェーンが
似合うけど、もし交換することがあったらうちにも寄ってみて。
アンティークチェーンがあるかもしれないし、カミーユ爺さんも
いいチェーン、作るわよ」
(この時計、いつまで持つことになるのかな)
苦笑しながら複雑な思いでポケットの中の時計を撫でる。
「覚えとくよ」
「いつでもまた寄ってね。大切な本を落とさないでね!」
エドワードは再び帰路についた。

「おまえ、それは最年少で国家錬金術師の資格をとった
エドワード・エルリックじゃよ」
「えっ?だって普通の子供だったよ?!」
「その年齢で機械鎧で懐中時計を持っていたなら間違いなかろう。」
エドワードの正体は翌朝、カミーユ爺さんによってジジに知らされた。

The End

In memory of (5)  In memory of (1)